月や太陽の引力と地震 【地震の前兆現象】
月や太陽の引力が地震の引き金により 平成22年1月28日 独立行政法人 防災科学技術研究所
太陽や月の引力が与える影響について
2010年1月28日に防災科学技術研究所が、月や太陽の引力が地震の引き金になる可能性が高いことを発表しました。
地殻のひずみが十分にたまったときに月や太陽の引力が地震発生の最後の引き金になると考えられ、地震のメカニズムを解明する有効な手がかりとなるとともに、巨大地震の長期的予測にも役立つ可能性が期待されます。
月の引力と太陽の引力が重なる、満月や新月の日は、最大で±60㎝の地盤の変動が起きるため、地震の最後の引き金になると考えられます。
調査結果の概要

月や太陽の引力は海水に働き、潮の干満を生じさせます。同じように、これらの力は地球自身にも働き、地球を1日2回大きく変形させます。この現象は地球潮汐と呼ばれ、変形した地球の内部には数十~数百ヘクトパスカルの力が加わります。
2004年12月26日、甚大な津波被害をもたらしたスマトラ島沖地震(M9.0)の前後に、周辺地域で発生した地震と地球潮汐の関係を調査した結果、地球潮汐による力が最大となる時刻前後に地震が集中していたことが明らかになりました。
【右図】 地球潮汐と地震発生時刻の関係
球潮汐による力が断層の滑りを促進する方向に最も強く働く時刻(▲)前後に地震が集中して発生する傾向が見られる。
この相関関係は1995年ごろから次第に強く現れ、スマトラ島沖地震の発生を境に消滅します。スマトラ島沖で発生した他の2つの巨大地震(マグニチュード8.6および8.5)でも同様の傾向が確認できました。
地球潮汐による力は地震を引き起こす地殻のひずみの千分の一程度にすぎません。今回の結果は、地殻のひずみが十分にたまった巨大地震発生直前に限り、地球潮汐による微小な力が地震発生の「最後の一押し」として作用することを示しています。
平成22年1月28日 独立行政法人 防災科学技術研究所 プレス発表資料より
地震・火山と月齢の関係
過去の大地震や火山噴火の多くは、地球潮汐(月が地球内部に及ぼす地殻のひずみ)の振り幅が大きい、満月や新月の前後に起きているようです。
大地震と月齢
地震の発生日 | 地震名 | マグニチュード | 月齢 |
---|---|---|---|
1854年12月24日 | 安政南海地震 | M8.4 | 新月前日 |
1855年11月11日 | 江戸地震 | M6.9 | 新月翌日 |
1905年6月2日 | 芸予地震 | M7.2 | 新月前日 |
1946年12月21日 | 南海地震 | M8.0 | 新月前々日 |
1960年5月23日 | チリ津波地震 | M9.5 | 新月前々日 |
1973年6月17日 | 根室半島沖地震 | M7.4 | 満月翌日 |
1983年5月26日 | 日本海中部地震 | M7.7 | 満月前日 |
1994年10月4日 | 北海道東方沖地震 | M8.2 | 新月前日 |
1995年1月17日 | 阪神大震災 | M7.3 | 満月 |
2001年3月24日 | 平成13年芸予地震 | M6.7 | 新月前日 |
2003年9月26日 | 十勝沖地震 | M8.0 | 新月 |
火山と月齢
火山の発生日 | 火山名 | 月齢 |
---|---|---|
1914年1月12日 | 桜島 大正大噴火 | 満月 |
1973年2月1日 | 浅間山噴火 | 新月前々日 |
1986年11月15日 | 伊豆三原山噴火 | 満月前日 |
1990年11月17日 | 雲仙普賢岳噴火 | 新月 |
1998年1月14日 | イタリア エトナ火山噴火 | 満月 |
2000年8月29日 | 三宅島火砕流発生 | 新月 |
2004年9月1日 | 浅間山噴火 | 満月翌日 |