ライフラインの被害 【首都直下地震】
平成17年2月25日 政府中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」より
被災シナリオ 東京湾北部地震 M7.3 18時発生、風速15m/s
断水被害 (上水道被害)
首都直下地震では以下のように断水被害は340万世帯・1100万人
断水被害 | 1日目 | 2日目 | 4日目 | |||
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単位:人 | 被害者数 | 支障率 | 被害者数 | 支障率 | 被害者数 | 支障率 |
茨城県 | 140,000 | 4.7% | 110,000 | 3.6% | 42,000 | 1.4% |
埼玉県 | 1,800,000 | 26.9% | 1,400,000 | 20.6% | 550,000 | 8.1% |
千葉県 | 2,400,000 | 41.4% | 1,800,000 | 31.8% | 720,000 | 12.4% |
東京都 | 3,900,000 | 33.3% | 2,900,000 | 24.4% | 780,000 | 6.7% |
神奈川県 | 3,100,000 | 37.3% | 2,400,000 | 28.6% | 920,000 | 11.2% |
山梨県 | 1,900 | 0.2% | 1,400 | 0.2% | 600 | 0.1% |
復旧について
被害発生当日は被害状況の調査や復旧要員動員にあてられ、その後4日目までに配水系統切り替えにより大きく復旧。復旧完了までに1ヶ月かかると想定されています。
上水道の復旧目安 | 復旧にかかる日数 | 復旧にあたる人員数 |
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各事業者による復旧目標 | 30日 | 12,000人 |
阪神・淡路大震災時の復旧実績 | 42日 | 8,600人 |
ガスの供給停止被害 (ガス被害)
首都直下地震では以下のようにガス供給停止は120万軒
ガスの供給停止 | 1日目 | 2日目 | 4日目 | |||
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単位:人 | 被害者数 | 支障率 | 被害者数 | 支障率 | 被害者数 | 支障率 |
千葉県 | 120,000 | 9.9% | 120,000 | 9.8% | 120,000 | 9.5% |
東京都 | 1,100,000 | 19.0% | 1,100,000 | 18.8% | 1,100,000 | 18.3% |
- 大被害:機能支障に至る程度の橋梁・高架橋の被害
- 中小被害:機能支障に至らない程度の橋梁・高架橋の被害
- 橋梁・高架橋の被害のみの箇所数を示している
復旧について
発災1日目から被害率の高いブロックから順次復旧作業を開始。復旧完了までに約2ヶ月かかると想定されています。
ガス供給の復旧目安 | 復旧にかかる日数 | 復旧にあたる人員数 |
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各事業者による復旧目標 | 55日 | 約4,800人 |
阪神・淡路大震災時の復旧実績 | 85日 | 約3,100人 |
停電被害 (電力被害)
首都直下地震では以下のように停電軒数は160万軒
停電被害 | 1日目 | 2日目 | 4日目 | |||
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単位:件 | 被害件数 | 支障率 | 被害件数 | 支障率 | 被害件数 | 支障率 |
茨城県 | 21,000 | 1.2% | 17,000 | 1.0% | 9,000 | 0.5% |
埼玉県 | 160,000 | 4.1% | 130,000 | 3.3% | 69,000 | 1.8% |
千葉県 | 190,000 | 5.3% | 150,000 | 4.3% | 80,000 | 2.3% |
東京都 | 1,100,000 | 12.9% | 870,000 | 10.5% | 460,000 | 5.6% |
神奈川県 | 150,000 | 3.0% | 120,000 | 2.4% | 65,000 | 1.3% |
復旧について
変電所被害による停電は被害発生当日に回復し、1日後から末端設備の復旧作業を開始。一定の割合で復旧しその復旧完了までに約6日間かかると想定されています。
電力供給の復旧目安 | 復旧にかかる日数 | 復旧にあたる人員数 |
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各事業者による復旧目標 | 6日 | 約12,000人 |
阪神・淡路大震災時の復旧実績 | 6日 | 約12,000人 |
被害想定では考慮されていない、その他の被害シナリオ
- 複数の発電所が同時被災した場合、電圧の低下により首都圏全体の電力ネットワークの機能維持が困難となる。これにより直接施設被害を受けない地域においても、停電被害が広域化する
- LNG火力発電所では、LNGのほとんどが海外からの輸入調達に依存しているため、港湾施設の被災によりLNGタンカーが着岸不能に陥った場合、発電機能が著しく制限を受け、電力需要をまかなうことが困難となる
- 工業用水が被災した場合、発電用タービンの冷却水の調達が困難となり、発電機能が低下する
電話の不通 (通信被害)
首都直下地震では以下のように固定電話の不通回線数は110万回線
電話の不通被害 | 1日目 | 2日目 | 4日目 | |||
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単位:件 | 被害件数 | 支障率 | 被害件数 | 支障率 | 被害件数 | 支障率 |
埼玉県 | 110,000 | 3.5% | 100,000 | 3.3% | 89,000 | 2.9% |
千葉県 | 140,000 | 5.1% | 130,000 | 4.8% | 120,000 | 4.3% |
東京都 | 740,000 | 9.3% | 700,000 | 8.8% | 620,000 | 7.8% |
神奈川県 | 120,000 | 2.8% | 110,000 | 2.7% | 100,000 | 2.4% |
被害発生直後は、被害実態の調査や通信途絶防止措置(特設公衆電話設置等)にあてられ、徐々に復旧作業を開始。その後急激に回復するが、ある程度まで達すると被害が大きい地域の復旧が最後に残り、復旧速度が落ちる。
復旧完了までに2週間かかると想定されています。
復旧について
変電所被害による停電は被害発生当日に回復し、1日後から末端設備の復旧作業を開始。
一定の割合で復旧しその復旧完了までに約6日間かかると想定されています。
通信の復旧目安 | 復旧にかかる日数 | 復旧にあたる人員数 |
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各事業者による復旧目標 | 14日 | 約3,800人 |
阪神・淡路大震災時の復旧実績 | 14日 | 約3,800人 |
被害想定では考慮されていない、その他の被害シナリオ
- 直接施設被害を受けない地域においても、停電などで通信困難な地域が広域化する
- 停電が長期化した場合、さらに非常電源用の燃料供給が寸断された場合、各電話局の非常用発電機の継続利用が困難となり、通信支障による影響が増大する
- 大手町に設置されているインターネット・エクスチェンジ(IX)が被災した場合、他のIXへの通信負荷が過大となり、全国のインターネット通信の速度が低下、つながりにくい状態となる等の支障が生じる