被害想定 【南海トラフ巨大地震】

2012年8月29日 南海トラフの巨大地震モデル検討会レポートより

南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)について

当レポートは、南海トラフの巨大地震モデル検討会においてとりまとめられた、津波高及び浸水域等の推計結果です。

南海トラフの巨大地震の地震規模

南海トラフ巨大地震が発生した際の、最大の地震規模は次の様に想定されております。
なお、これらの想定は東北地方太平洋沖地震を教訓とし、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討するという、考え方に沿って政府の南海トラフの巨大地震モデル検討会が発表したものです。

津波断層モデル 面積:約14万k㎡
モーメントマグニチュード:9.1
強震断層モデル 面積:約11万k㎡
モーメントマグニチュード:9.0
【参考】東北地方太平洋沖地震 面積:約10万k㎡
モーメントマグニチュード:9.0

南海トラフの巨大地震による震度分布

南海トラフ巨大地震の震度分布図
震度の最大値の分布図

全壊及び焼失棟数と、死者数の想定

発生時刻や風速などの前提条件により大きく異りますが、東海地方、近畿地方、四国地方、九州地方がそれぞれ大きく被災するケースを想定した場合、次の通りとなります。なお、地震動に対して堤防・水門が正常に機能した場合の数値です。

  全壊及び焼失棟数 死者数
東海地方が大きく被災するケース 954,000棟~2,382,000棟 80,000人~323,000人
近畿地方が大きく被災するケース 951,000棟~2,371,000棟 50,000人~275,000人
四国地方が大きく被災するケース 940,000棟~2,364,000棟 32,000人~226,000人
九州地方が大きく被災するケース 965,000棟~2,386,000棟 32,000人~229,000人

津波高の想定

5m以上が想定される地域
千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、大分県、鹿児島県
10m以上が想定される地域
東京都(島嶼部)、静岡県、三重県、和歌山県、愛媛県、徳島県、高知県、宮崎県

防災対策による被害軽減

防災の推進によって、今回の想定結果よりも地震動や津波による被害を減らすことができます。
自治体による防災対策の推進とともに、国民一人ひとりが防災に努めることで、以下の様な減災余地があります。

建物の耐震性の強化

昭和56年以前の耐震基準で建築された建物の耐震化を推進し、耐震性を持たせることにより、死者数は現時点で約38,000 人と想定されるものが、約85%減の約5,800人に大きく減少するものと推計されます。

家具等の転倒・落下防止対策の強化

家具等の転倒・落下防止対策が進むことにより、死者数は現時点で約3,000人と想定されるものが、約70%減の約900人と大きく減少するものと推計されます。

津波に対する避難意識の向上

早期避難率が低い場合と早期避難率が高く効果的な呼びかけがあった場合を比較すると、津波による死者数に約2.0倍~約8.6倍の差が想定されます。また、早期避難率が低い場合と、全員が発災後すぐに避難を開始した場合を比較する
と、津波による死者数に約2.6倍~約13.5倍の差が想定されます。
このことからも、住民等の自主的かつ迅速な避難、避難計画策定や防災教育の推進によって、想定よりも津波による人的被害を大きく減らすことができます。

津波避難ビルの指定・整備

津波避難ビルが津波避難に効果的に活用できるかどうかにより、死者数に約1.2倍~約1.9倍の差が想定されます。(平成23年10月現在)

堤防・水門の耐震性の強化

堤防・水門が地震動によりその一部が機能しなくなるかどうかにより、建物全壊棟数と死者数にそれぞれ約1.1倍の差が想定されます。

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