三浦半島断層群

2002年10月9日 地震調査委員会より

三浦半島断層群の調査結果

三浦半島断層群危険度 大

三浦半島断層群の位置

三浦半島断層群は、三浦半島の中・南部及び浦賀水道に分布しており、神奈川県三浦郡葉山町から横須賀市を経て浦賀水道に至る三浦半島断層群主部と、三浦市に位置する三浦半島断層群南部からなる。

三浦半島断層群主部は、ほぼ西北西-東南東方向に並走する北側の衣笠・北武(きぬがさ・きたたけ)断層帯と南側の武山(たけやま)断層帯に細分される。
衣笠・北武断層帯の確認されている長さは約14km(約22km以上の可能性もある)、 武山断層帯の確認されている長さは約11km(さらに両側の海域に延びている可能性がある)、三浦半島断層群南部の確認されている長さは約6kmである(さらに両側の海域に延びている可能性がある)。

  1. 衣笠・北武(きぬがさ・きたたけ)断層帯
    【東端】 北緯35°12′東経139°43′【西端】 北緯35゜16′東経139°35′
  2. 武山(たけやま)断層帯
    【東端】 北緯35°10′東経139°42′【西端】 北緯35゜14′東経139゜36′
  3. 南下浦(みなみしたうら)断層、引橋(ひきはし)断層
    【東端】北緯35°9′東経139°41′【西端】 北緯35゜11′東経139゜37′

過去の活動

三浦半島断層群主部は、過去の活動時期の違いから、北側の衣笠・北武断層帯と南側の武山断層帯の二つに分けられる。
衣笠・北武断層帯の最新活動時期は、6~7世紀であったと考えられ、信頼度は低いがその平均的な活動間隔は1,900年~4,900年程度であった可能性がある。武山断層帯の最新活動時期は、2,300年前以後、1,900年前以前であったと考えられ、その平均的な活動間隔は1,600年~1,900年程度であったと推定される。

なお、1923年大正関東地震の際に、武山断層帯の陸域部の東端付近で、地震断層が出現したことが知られているが、地震断層が現れた範囲は1km程度とごく短い区間であることから、これは関東地震に付随した活動であり、武山断層帯固有の活動ではないと推定される。

将来の活動

断層群主部は、衣笠・北武断層帯と武山断層帯がそれぞれ別々に活動すると推定されるが、全体が一つの区間として同時に活動する可能性もある。
断層群主部全体が同時に活動する場合は、衣笠・北武断層帯が単独で活動する場合と同程度もしくはそれ以上の規模の地震が発生すると推定され、全体のずれの量も衣笠・北武断層帯が単独で活動する場合と同程度もしくはそれ以上となる可能性がある。

三浦半島断層群主部

衣笠・北武断層帯と武山断層帯が別々に活動する場合、衣笠・北武断層帯では、少なくともマグニチュード6.7程度の地震が発生すると推定され、その時のずれの量は1m程度となる可能性がある。
他のデータをもとに計算により求めると、マグニチュード7.0程度もしくはそれ以上、ずれの量が2m程度もしくはそれ以上となる可能性もある。

武山断層帯では、マグニチュード6.6程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定され、その時のずれの量は1m程度もしくはそれ以上となる可能性がある。

三浦半島断層群南部

断層群南部は、全体が一つの区間として活動すると推定され、その際にはマグニチュード6.1程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定され、その時のずれの量は0.5m程度もしくはそれ以上となる可能性がある。
断層群南部は、平均活動間隔が不明であるため、将来このような地震が発生する長期確率を求めることはできない。

三浦半島断層群による地震発生確率

衣笠・北武断層帯

期間 地震発生確率
30年以内 ほぼ0%~3%
50年以内 ほぼ0%~5%
100年以内 ほぼ0%~10%
300年以内 ほぼ0%~30%

武山断層帯

期間 地震発生確率
30年以内 6%~11%
50年以内 9%~20%
100年以内 20%~30%
300年以内 50%~70%

※断層群主部全体が同時に活動する場合の長期確率は、それぞれが単独で活動する場合の長期確率を超えることはないと考えられる。

政府の地震調査委員会は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、三浦半島断層群の地震発生確率が高まった可能性があると発表しました。

参考データ

1995年 阪神淡路大震災(兵庫県南部地震 M7.3)の場合

発生地震 地震発生確率 平均活動間隔
六甲・淡路島断層帯 30年以内に
0.02%~8%
約1.7~3.5千年